仮置き場

ツイキャス『禍話』で語られた怖い話の文章化を主にやらせていただいてます

禍話リライト

禍話リライト 忌魅恐『地蔵のいる踏切の話』

提供者であるAさん(男性)が、とある大学の院生だった頃の話。 Aさんの通っていた学部は理系である。 どんな学部でもそうだが、卒業論文を書くために、実験、解析、調査、そこから得られた精密なデータ。それらが必要不可欠となる。 卒論審査というのはそもそ…

禍話リライト サバゲ地蔵

とあるサバゲーグループの話。 あちこちの山野や廃墟でサバゲーを楽しんでいたグループだったそうだ。 その時も、彼らは某所の山中にてサバゲーを楽しんでいた。 二つのチームに分かれ、フィールドである山谷を駆け回る。 その内、一方のチームの形勢が次第…

禍話リライト 忌魅恐『元カノがあきらめてくれない話』

某大学のオカルトサークルが取材した当時、サバゲーを趣味としていた社会人、Aさんの話。 (※オカルトサークルについては『忌魅恐 序章』を参照) https://venal666.hatenablog.com/entry/2021/10/10/005647 ある時、仲間内で。 今度はどこでやろうか。どこか…

禍話リライト 忌魅恐『あの先生に関して覚えていること』

Aさんという女性の、小学校の頃の体験。 ある年のこと。Aさんのクラスの担任教師が、変な時期に、突然別の人に変わったそうだ。 普通、担任が変わる時期といえば、概ね、学年が上がって新学期になった時だ。 しかし、その先生は、夏休み前の中途半端なタイミ…

禍話リライト 怪談手帖『しし地蔵』

『自然仏』(じねんぼとけ)という話をしたのをきっかけに、話者の方から採集できた。 『お地蔵さんみたいなもの』についての話。 ※怪談手帖『自然仏』 https://venal666.hatenablog.com/entry/2021/12/27/210037 提供者であるAさんが幼少期を過ごした集落には…

禍話リライト おちついた場所の手紙

令和の初め頃。当時、大学生だったAさんの体験。 Aさんは、この体験により『二つのこと』が苦手になった。 一つ目は『山に入ること』である。 旅行、帰省、出張と。誰しも、そのように遠出をすることがある。そうすると、例えば自動車で山道を走ったり、新幹…

禍話リライト 忌魅恐『赤い帽子の女』

Aさんという男性の、幼少期の体験。 某大学のオカルトサークルが取材した当時、彼はすでにそれなりの年齢であったという。 つまり、現代から見て、少なくとも半世紀以上は前の話。 ……ということになるだろうか。 ※オカルトサークルに関しては『忌魅恐 序章』…

禍話リライト 墓石の写真

コロナが蔓延し始め、それから少し経った頃の話だという。 感染を避けるため。あるいは利便性の向上のため。仕事の連絡や簡単な打ち合わせに、LINEなどのSNSを使うようになった。 そんな人も少なくないだろう。 この話の体験者である男性、Aさんもそうだった…

禍話リライト 忌魅恐『トイレのえつこちゃんの話』

※十一月十日は『トイレの日』です。 九十年代、関東地方のとある小学校での話。 学校の怪談、といえば。 やはりその代表は『トイレの花子さん』である。 その小学校の旧校舎、二階の女子トイレにも、 『女の子の幽霊が出る』 という噂があった。 ただ、その…

禍話リライト 貝の缶詰

Aさん(男性、既婚者)の体験談。 Aさんは、いわゆる専業主夫である。 夫のAさんが家事を行い、奥さんが会社勤めをしている。そんな御夫婦だ。 妻のBさんはかなりアクティブな女性で、気の合う女友達と共に頻繁に飲みに行ったり、アウトドアに出かけたり、そう…

禍話リライト よぎってみせた女

世の中には、気づかない方がいいこともある。 そんなお話。 北九州在住、Aさんの体験談。 終業後、会社を出る前に事務室に寄る。それが当時の勤務先でのAさんの習慣だった。そこで事務員から郵便物を受け取り、帰り道の途中でポストに投函するのである。 も…

禍話リライト 怪談手帖『天狗××(ペケペケ)』

『天狗』という説明不要なほど有名な妖怪の特徴の一つに、その名を冠した怪異の多さが挙げられる。 天狗倒し、天狗囃子、天狗太鼓、天狗の礫、天狗笑い、天狗火、天狗揺り……。 特に山中や山の周辺で天狗が起こすとされる怪異の話は枚挙に暇がない。 僕(『怪…

禍話リライト おまいりえにっき

関東某県のとある廃墟。そこへ肝試しに行ったグループの体験談。 (なお、現在その廃墟は存在しないそうだ) 廃墟、といっても深い山中や人里離れた土地にあるわけではない。それは何の変哲もない住宅街の中、他の家々に紛れるように存在していた。 この話の提…

禍話リライト 行きどまりタクシー

時間帯、年齢。恐ろしい体験をする時、そうした条件は一切関係ないらしい。 『二十歳になるまでに一度もそういう体験をしなければ、それ以後の人生で心霊体験をすることはない』 皆さんはそんな話を聞いたことがあるだろうか。 この話の体験者である男性、A…

禍話リライト 怪談手帖〈未満〉『蛸』

会社員のBさん(女性)が小学校低学年だった頃の話。 「その頃『遺伝子組み換え』って言葉が流行ってたんだよね。だからかなぁ……」 小学校の近所に、お金持ちの中年夫婦の住む大きな住宅があって、いつからか子供たちの間で、 『あの家では遺伝子組み換え動物…

禍話リライト 事故物件のカーテン

『事故物件』と聞いて、皆さんはどんな状況の部屋を思い浮かべるだろう。 その『部屋の中』で誰かが亡くなった。 概ね、そんなところだろう。 だが、時にはその部屋ではなく、近くで誰かが亡くなったことが原因で事故物件になることもあるらしい。 例えば、…

禍話リライト 怪談手帖『ルドンの沼の花』

十年ほど前。Aさんが四十代の頃の、ある夏の話だという。 厄介な大きな仕事が片付いて、週の終わり、彼は久しぶりに図書館へと赴いた。鮮やかな印刷でピカピカに光る新刊や幾つかの雑誌を漁った後、のびのびとした気持ちが高じて、普段赴かない『美術』の棚…

禍話リライト 竹藪の女

昭和の頃。 提供者のAさんが小学生時代に体験した話。 Aさんが高学年になった頃、お父さんが仕事の都合でいわゆる転勤族になった。 それによりAさんも、その時期、短期間での転校を繰り返していたそうだ。 そういうこともあって、当時の記憶は少し曖昧らしい…

禍話リライト 浴槽の中

この話の提供者であるAさん。彼が友人に誘われ、とある廃墟に行った際の話である。 地方都市によくあるような、かつては賑わっていたが、別の場所が開発され、そっちが栄えた影響で寂れていった、かつての大通り。そんな道路脇にその廃墟は存在していた。 外…

禍話リライト 『苦手なもの』二話

落語『まんじゅうこわい』のように、誰にでも苦手なもの、怖いものの一つくらいはあるものだ。 ただ、時には。 何故それが苦手なのか、他人からするとちょっと理解できないようなものを心底嫌っている人たちもいる。 とはいえ、実際に訊いてみれば『なるほど…

禍話リライト ノックされる家

どこの地域の話かは不明である。 その家にはかつて親子三人が住んでいたそうだ。 と言っても、すでに両親は高齢。娘も一度は結婚していたが、子供ができなかったこともあり、離婚を機に出戻ってきた。そんな家庭だったという。 その内、両親は歳のせいもあっ…

禍話リライト 廃墟探訪趣味

禍話の語り手である、かぁなっきさん。 彼が知り合いの知り合いであるヒロさん(仮名、男性)から聞いた話。 そのヒロさんがある時、近くの山中にある廃墟へ彼女さんと一緒に肝試しに行った時のことである。 (怖いので昼間に行ったそうだ) 二人が訪れたのは複…

禍話リライト 夕方放送

禍話の語り手であるかぁなっきさん。その高校時代に起きた、同級生の方々が体験した何とも不思議なお話である。 現実に存在しない現象に遭遇した、目撃した。『そう思い込む』ということは少なくない。 例えば、幻覚や擦り込み。あるいはホラー映画を見た時…

禍話リライト 忌魅恐『女と目が合った話』

(この話が例のオカルトサークルにより収集された九十年代当時から見て)三年前、体験者であるAさんの勤め先の会社で起きた話。 ※禍話リライト 忌魅恐 序章 - 仮置き場 https://venal666.hatenablog.com/entry/2021/10/10/005647 そのビルは、駅の裏手にある寂…

禍話リライト 写真のある机

九十年代に『学校の怪談』ブームが起きた頃、各出版社から多くの怪談本が発売された。 ブームの火付け役となったのは、常光徹氏の同名の書籍。 そこから生まれた楢喜八氏の絵が印象深い児童書。そしてポプラ社の小学生向けの本。 それらが当時、特に人気が高…

禍話リライト 怪談手帖『たんころりん』

太く濃い毛虫眉。 ギョロリとしたどんぐり目玉。 真ん中に胡座をかいた獅子鼻。 のっぺりと結ばれた広い口。 人の倍はあろうかという大きな顔。 そんなものが、窓の外からこちらを覗いている。 曇ったガラス窓の右下に見切れている。 窓の中には他に、一面の…

禍話リライト 霊感のある女(カタツムリの家)

『霊が見える』と自称する。 そういう人とは、あまり付き合わない方がいいらしい。 提供者、Kさん(仮名、男性)が高校生の頃。 地方の不良の多い学校にはありがちなことではあるが。夏休みなど、そういう時期になると素行の悪いOBがやって来て、在学生を呼び…

禍話リライト 闇夜の物体

提供者であるAさん。彼が大学時代に所属していたゼミで起きた話。 その日、Aさんは所属するゼミの仲間と共に、大学構内にある図書館で勉強会をしていたそうだ。 ずいぶんと集中していたのだろう。気づけば、いつのまにか図書館の閉館時間が迫っていた。そこ…

禍話リライト 孫が走る

提供者であるAさんのおばあさんが体験した話。 当時、おばあさんは既にかなり御高齢だったのだが、その割にまだまだ元気で足腰もしっかりしており、町内会の回覧板を次のお宅に回すなど、家の中のいろいろな仕事を率先して行っていたそうだ。 ある日のこと。…

禍話リライト 忌魅恐 『お姉さんの体験した話』

※『自己責任系』の可能性があります。 Aさん(女性)が実家近辺で体験した話。 Aさんの実家は田舎の方にあり、当時すでに社会人であった彼女は毎日の通勤に電車を利用していた。 田舎なので、いつも利用している駅は昼間の内こそ駅員がいるのだが、夜遅い時間…